Cadence

Cadence (ケーデンス)は日本語で韻律やリズムという意味になります。トレジャーデータでは創業期から約450人の時に$100m ARRを達成するまででどうやって全ての四半期で数値を達成するか、それを行うためにどうやって複雑に絡み合う組織の中でゴールを共有しそれを達成するかを常に考えてきました。

そこで重要なコンセプトだなと思ったのが、異なる部門間のリズムをあわせるという以下のプレゼンテーションでした。David SacksはPayPalでCOOを務めたあと、Yammerを創業してMSFTに$1Bで売却した経験のある起業家です。

Cadenceとは?

DavidSによると、スタートアップには2つのシステムが存在します。

  • Sales & Finance System
  • Product & Marketing System

この2つのシステムを四半期単位で回し、さらに2つのスケジュール・足並みを揃えることで会社全体として一つのリズムを奏でられるという考えです。

四半期単位での数値目標管理

まずは前提として会社の営業サイクルを四半期単位にし、それに合わせて数値のゴールを作ります。月ごとの目標だと早すぎるし (TDの製品営業サイクルは100日以上でした)、年だと遅すぎるため、ほとんどの会社で四半期ごとの管理を行うのをおすすめします。

四半期の頭: 営業キックオフ

まず、四半期の頭に営業キックオフを行います。ここでは新しい営業目標やコミッションプランの発表のほか、プロダクトマネージャーがーロードマップについてもプレゼンを行うことで、営業チームがお客様にどういった機能が今後追加されていくかを効率的にプレゼンテーションすることが出来るようになります。

四半期の中: マーケティングローンチイベント

次に、四半期の真ん中に大規模な会社のマーケティングローンチイベントを作ります。ここでは新機能・新しい顧客事例・新しいパートナーシップなどの発表を大々的に行います。Treasure DataではUSはMartech Conf, 日本ではPlazmaという自社イベントを使っていました。

Customer Successチームはプロダクトチームと連携を取り、その前週辺りにCAB (Customer Advisory Board)という一部のお客様だけを招いたプライベートイベントを行い、発表内容を少し前だししたりしていました。実際にプロダクトローンチでリリースされる機能は一部のお客様に前だしすることで、イベントのときにはすで数社のお客様がそれを使用いただいている状態にします。

エンジニアリングチームはこのスケジュールに向けて機能をリリースします。またこのマーケティングイベントとエンジニアリングがデプロイするサイクルは全く別物と考えてください。エンジニアリングは毎日機能をデプロイしお客様に届けていましたが、単に市場にアピールする機会として、それらをまとめて四半期に1回に発表しているということです。

このイベントが四半期の真ん中にあることで、営業はそのニュースを使って、様々な顧客にアプローチしたりクローズに向けて動いたりといった活動を行います。

四半期の最後: 案件のクローズ

四半期の終わりにむけては、とにかく案件をクローズします。

日々変わっていますが、こちらが最初にDavid Sacksのアイデアを見たときに構想したTreasure Dataのケーデンスの案です。

まとめ

ここでは会社全体をオーケストレーションするための仕組みとしてCadenceという考え方を見ていきました。会社の創業者や経営層の仕事は全体を指揮して一つの音楽を奏でるようなところがあると思います。

この方法は、よく考えるとAppleがWWDCを行ったり、SalesforceがDreamforce、Amazonがre:inventを行ったりするのと基本的には同じ考え方です。色んな会社が同じ方法をつかって会社全体のリズムを作っているので、ある程度の規模になってきたら是非真似してみてください。

またこのリズムに会社としていきなり踏むのはなかなか難しいです。筆者の場合、最初は年2回のローンチイベントからはじめました。以下が2020/10のローンチイベントのLanding Pageです。

このページを見ていただければ、プロダクトの機能、ベーターユーザー、PR、Webinar、CAB (Customer Advisory Board), Analyst Relationが全て同時期に起こっているのがわかると思います。

参考資料

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