Organization

前章で紹介したファネルを会社全体で分業しながら構築し、“売れる"モデルを作るのが$100m ARR SaaS企業を作る道と言えます。

大雑把ですが、ファネルの各ステージでは以下のように複数の部門が連携してお客様をファネルの下部に進めていきます。

実際にはこの3部門以外にも様々な部門が複雑かつ密に連携します。近年、多くのSaaS企業では以下のような組織から構成されている事が多いです。

  • Marketing: 主にFunnelの上部(認知)を担当し、Lead(見込み客)の創出を担当します。
  • Sales: 主にFunnelの中央(比較・検討・購入)を担当し、新規顧客を創出を担当します。
  • Customer Success: 主にFunnelの下部(継続・拡大・紹介・発信)を担当し、既存顧客ベースの維持と拡大を担当します。
  • Product: 市場ニーズ・会社のビジョンを元にロードマップの策定とそのデリバリーを担当します。
  • Engineering: サービスの開発と運用を担当します。
  • Partnership: 会社の周辺エコスシステムからのLead(見込み客)の創出を担当します。
  • InfoSec: 会社・サービスのセキュリティ担保ならびにコンプライアンスを担当します。
  • IT: 会社全体の業務を手助けするためのITツールの導入・管理・支援を担当します。
  • Human Resource: 社員の心理的安全性を担保し、新規従業員を雇うプロセスの管理を担当します。
  • Finance: 経理・会計・財務を担当します。1章で紹介したKPIを管理し、会社の羅針盤としての機能も持ちます。
  • Legal: 法律に関連した業務を担当します。

そのほかにも重要なサブ部門が存在します。下記部門がどの組織に属するかは議論が分かれますが、多くのSaaS企業が何かしらの形で機能として持っていることは間違いありません。

  • SDR (Sales Development Representative): コールドコール / Email / 所管などを駆使して、Marketing / Salesと共に見込み顧客の創出を担当します。
  • Sales / Marketing Operation: 営業・マーケティング部門の業務を遂行するにあたって不可欠なCRM / Marketing Automatonシステム等の導入・メンテナンス・支援を担当します。
  • Sales Enablement: 営業部門に対して様々な情報やトレーニングを提供することで、数値達成に不可欠な営業組織の底上げを行います。
  • Solution Architect: 技術営業部隊として、Marketing, Sales, Customer Successを後方から支援します。
  • Professional Service: コンサルティング部隊として、製品の実装や導入をお客様に張り付いて担当します。
  • Training & Education: 有償・無償の製品トレーニングを行います。

以上の各部門を担当する経営チームを作り、ゴールを共有しながら各部門の連携を取る仕組みやインセンティブを構築していくのが、社長や創業者の仕事になります。

Case Study: Treasure Data の $100m ARR の時の組織

ここではTreasure Dataが$100m ARRを達成した時の組織とその人数を大まかに紹介します。この450人が分業を行いながら、ファネルの様々なステージでお客様への価値提供を行っていきます。

  • CEO
    • CRO (75)
      • VP of Sales - APAC (50)
      • VP of Sales - North America (14)
      • VP of Sales - Europe (6)
      • VP of Business Development / Partnership (6)
    • CFO (11)
      • VP of Finance (9)
      • Corporate Development (1)
    • CMO (42)
      • SDR (15)
      • Content Marketing (4)
      • Field Marketing (8)
      • Digital Marketing (8)
      • Marketing Operation (3)
      • Web / Design (3)
    • CTO (297)
      • Chief Customer Officer (119)
        • Customer Success (50)
        • VP of Solution Architect (35)
        • VP of Professional Service (10)
        • Training & Education (2)
        • Customer Support (17)
      • VP of Engineering (146)
      • VP of Product (31)
        • Product Management (14)
        • UX/Design (7)
        • Pricing/Competitive (1)
        • Documentation (4)
        • Product Marketing (4)
        • Analyst Relationship (1)
        • Product Strategy (1)
    • COO (24)
      • VP of Legal (3)
      • CISO (10)
      • Corporate IT (4)
      • VP of Business Operations (6)
    • VP of HR (5)

どの順番でVPを雇えば良いか?

上記のように様々な部門がありますが、いきなり各部門が存在したわけではありません。それでは実際にどのチームから作っていけばよいか、もしくはより直接的にはどのVPから雇っていけばよいのか?という質問が出てくると思います。

SaaStrでは上記の順番をおすすめしており、筆者も様々な会社で似たような傾向を観測しています。筆者らも同じ間違いをおかしましたが、特にVP of Marketingを雇うタイミングが遅れることが多い気がしています。

結果として取れるはずだったリードが取れておらず、会社全体の成長率に影響してしまう致命的なミスに繋がります。

参考文献

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