何故KPIを追うのか？

SaaSビジネスに関しては、特有の様々な用語や、関連するビジネス指標が存在します。後の章ではこういった用語やKPIの知識が必須となるため、まずこの章ではそれらを紹介します。

まず、何故SaaSビジネスではKPIが重要なのかを説明します。

ビジネスの羅針盤として

現在までに、世の中にはSaaSスタートアップが何万社と生まれ、Salesforceに代表されるような超巨大上場企業が生まれました。

SaaS業界が成長するにつれて、SaaSビジネスの経営にある程度の指針/ガイドライン/成長の型のようなものが業界で形成されるようになってきました。

この知見は投資側と企業側の両方に蓄積し続けています。特に有益なのは、毎年様々なSaaS企業(上場・未上場含む)の様々なKPIが公開データとして業界に共有されている事です。

こういったレポートで標準的に使われているKPIを自社のビジネスで追い、また他の会社とベンチマークを取ることで、自分の会社が上手く行っている点・上手く行っていない点を第三者目線から効率的に炙り出す事ができます。

その結果、自社の軌道修正を素早く行う事ができます。

企業価値/時価総額をいかにして上げるか？

経営者は資本主義というゲームの名の元、株主のために時価総額を上げるのがミッションです。

しかし従来の売り切り型のライセンス型ソフトウェアビジネスと異なり、SaaSのサブスクリプション売上はストック型のため、同じ枠組みのなかで時価総額を算出するのが難しい時代がありました。しかし2010年代にSaaS企業の上場やM&Aがたくさん起こるにつれて、業界の中で様々なKPIを利用して、ある程度の時価総額の算出の仕組みが形成されてきました。

企業として今現在どの程度価値があるのか、また価値を上げるためにはどうすればいいのかという問いを、主要KPIに分解することで、時価総額最大化に向けて何をすればいいのかの指針を得ることが出来ます。

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Last updated on Nov 19, 2020